厄年について調べていると、必ず出てくるのが「前厄」「本厄」「後厄」という三つの言葉です。厄年は一年きりのものだと思っていたのに、実際には三年間続くと知って戸惑った方もいるかもしれません。
結論からお伝えすると、前厄は「厄の予兆が現れ始める年」、本厄は「厄が最も表れるとされる年」、後厄は「厄の恐れが徐々に薄らいでいく年」と、それぞれ違う性格を持つ年として伝えられてきました。三年をひとつの波として捉えるのが、伝統的に意識されてきた考え方です。
この記事では、年齢の一覧よりも「なぜ三年に分かれるのか」「三年それぞれをどう過ごすとよいと言われているのか」という時間軸の視点から、前厄・本厄・後厄の違いを丁寧にひもといていきます。自分の厄年が何歳なのかをすぐ確認したい方は、厄年早見表と計算方法をまとめた記事もあわせてご覧ください。
厄年は科学的に証明された仕組みではなく、日本で長く受け継がれてきた文化的な習わしです。本記事は伝承や神社・寺院の解説をもとにした読み物として、参考程度にお楽しみください。

前厄・本厄・後厄の違いをひと目で確認
まずは三つの年がどう違うのか、伝えられている位置づけを表にまとめます。呼び名だけを見ると本厄が主役のように感じますが、伝統的には三年でひとつの流れと捉えられてきました。
| 年 | タイミング | 伝えられている位置づけ | 別の呼び名 |
|---|---|---|---|
| 前厄 | 本厄の前年 | 厄の予兆が現れ始める年とされる | 厄入り |
| 本厄 | 厄年の年齢そのもの | 厄が最も表れるとされる年 | (33歳・42歳は大厄) |
| 後厄 | 本厄の翌年 | 厄の恐れが徐々に薄らいでいく年とされる | 厄晴れ |
「厄入り」「厄晴れ」という呼び名からもわかるように、前厄は入口、後厄は出口。本厄という山を挟んで、上りと下りがあるイメージで語られてきた言葉なのです。
なぜ厄年は三年に分かれるのか

運気の波はグラデーションで訪れると考えられてきた
前厄・本厄・後厄という三段構えの背景には、「厄災は前触れなく突然訪れるのではなく、前年から予兆が現れ、当年でピークを迎え、翌年にかけて徐々に薄れていく」という捉え方があるとされています。運気を白と黒で切り替わるスイッチではなく、なだらかに濃くなって薄くなっていくグラデーションとして見る発想です。
この考え方は、複数の神社・寺院や解説サイトに共通して見られます。体調の変化がある日突然始まるのではなく、少しずつ兆しが出て、しばらく続いて、ゆっくり回復していくのに似ていると考えると、腑に落ちる方も多いのではないでしょうか。
起源は諸説あり、はっきりとは分かっていない
厄年の由来については、平安時代以前に古代中国から伝わった陰陽道の教えが起源とされる説が有力と言われています。ただし、多くの神社・寺院の解説が「はっきりした起源は分かっていない」と明言しており、確定した定説があるわけではありません。
また、男性42歳を「死に」、女性33歳を「散々」と読む語呂合わせが由来だとする説もよく紹介されます。ただしこちらは俗説のひとつとして扱われることが多く、「その年齢が生活環境や体調の変化が大きい時期と重なることの方が本質ではないか」と補足する解説も少なくありません。
本来は「役年」だったという考え方
神社本庁の解説では、厄年は本来「役年」に通じるという説が紹介されています。氏神神社の祭礼で神事を奉仕する立場(宮座への加入など)を担う、いわば「晴れの年齢」だったという考え方です。還暦や古稀といった「年祝い」と、本来は同列の通過儀礼だったとも説明されています。
それが現代では「災難が起こりやすい年」という側面のほうが強く意識されるようになりました。三年間を単なる警戒期間ではなく、人生の節目として受けとめ直す視点は、この記事を読み進める上での土台になってくれるはずです。
前厄・本厄・後厄それぞれの過ごし方のポイント
三年それぞれに違う性格があるのなら、心構えも少しずつ変えていくのが自然です。伝えられている傾向を整理すると、次のようになります。
| 年 | キーワード | 過ごし方の傾向 |
|---|---|---|
| 前厄 | 備えの年 | 生活習慣を見直し始める。おそれすぎず前向きに整える |
| 本厄 | 乗り越える年 | 節目・転換期として意識し、慎重に行動する |
| 後厄 | 気を緩めない年 | 受けた影響を癒し、運勢を戻していく。感謝の参拝も |
前厄は「備えの年」
前厄は「厄入り」とも呼ばれ、これから三年の入口に立つ年です。ここで意識したいのは、身構えることではなく整えること。睡眠や食事、働き方といった生活習慣を見直し始めるのに、ちょうどよいきっかけの年だと語られています。
「前厄だから何かよくないことが起きるのでは」と不安に傾いてしまう方もいますが、前厄をネガティブに捉えすぎず、前向きな準備期間として受けとめる論調も広く見られます。年に一度の健康診断を早めに予約する、部屋を片づける、家計を見直す。そんな小さな整えが、この年のいちばんの過ごし方かもしれません。
本厄は「乗り越える年」
本厄は、厄が最も表れるとされる年であると同時に、人生の転換期・節目と重なりやすい年齢でもあります。仕事の責任が変わったり、家族構成が変わったり、体力の感じ方が変わったり。変化が多いからこそ、揺れやすい時期だと考えられてきました。
ここで大切にされているのが、「事前に意識して慎重に行動することで、困難をうまくすり抜けられる」という考え方です。厄年だから何もしない、ではなく、厄年だからこそ丁寧に準備する。同じ行動でも、心の置きどころを変えるだけで一年の手触りは変わってきます。
女性の33歳(大厄)を中心とした具体的な過ごし方については、女性の厄年の過ごし方と注意点をまとめた記事で詳しく解説しています。
後厄は「気を緩めない年」
後厄は「厄晴れ」とも呼ばれ、厄の恐れが徐々に薄らいでいく年とされています。ただし、いきなり晴れ渡るわけではないというのがこの言葉のニュアンス。前厄・本厄で受けた心身の影響を癒しながら、少しずつ運勢を戻していく時期だと語られています。
そして後厄には、もうひとつ大切にされている習わしがあります。それが三年間を無事に過ごせたことへの感謝の参拝(お礼参り)です。厄を払ってもらうためではなく、ここまで来られたことにお礼を伝えるための参拝。三年という長い区切りを締めくくる、静かで美しい習慣だと言えるでしょう。
三年に共通する心構え
近年の解説で主流になっているのは、「厄年だから」を理由に大きな決断を先送りにしたり、悲観したりするのは誤解であるという論調です。慎重に準備して行動するなら、結婚・転職・引っ越しといった決断そのものを避ける必要はないという考え方が広がっています。
実際、江戸時代の庶民文化では逆に「新しいことに挑戦して厄落としをする」という考え方もあったと伝えられています。三年間を萎縮して過ごすのではなく、丁寧に、けれど前を向いて歩く。それが現代的な厄年との付き合い方なのかもしれません。
一番注意すべきなのはどの年?諸説を整理する
「前厄・本厄・後厄のうち、どれが一番大変なの?」という疑問は、厄年について調べる多くの方が抱くものです。ただ、この問いにははっきりした定説がありません。代表的な三つの見方を並べてみます。
説1:本厄が最も注意すべき(多数派)
厄年の年齢そのものにあたる本厄が、最も災難に見舞われやすいとされるという説明が、多くの解説で見られます。
説2:どの年も同程度
寺院の解説の中には、「本厄が一番悪いという印象を持たれがちだが、厄年は三年間続くもので、どの厄も同じくらい運気が下がるといわれている」と述べているものもあります。
説3:後厄のほうが気を抜けない(体感的な俗説)
「後厄こそ油断できなかった」という体験談的な語りも、世間には一定数広まっています。本厄を終えた安心感で気が緩みやすい、という実感から来ているのかもしれません。
このように、寺社や地域、そして個人の体験によって見解は分かれます。どれかひとつを正解として選ぶよりも、「三年間トータルで慎重に過ごす」という結論に着地させるのが、いちばん無理のない受けとめ方ではないでしょうか。前厄だから軽い、後厄だからもう大丈夫、と線を引かないことが、三年という考え方の本来の姿に近いはずです。
前厄・本厄・後厄の年齢一覧(数え年)
三年セットで見た場合の年齢を、簡易的にまとめます。いずれも数え年での表記です。
| 性別 | 前厄 | 本厄 | 後厄 |
|---|---|---|---|
| 男性 | 24歳 | 25歳 | 26歳 |
| 男性 | 41歳 | 42歳(大厄) | 43歳 |
| 男性 | 60歳 | 61歳 | 62歳 |
| 女性 | 18歳 | 19歳 | 20歳 |
| 女性 | 32歳 | 33歳(大厄) | 34歳 |
| 女性 | 36歳 | 37歳 | 38歳 |
| 女性 | 60歳 | 61歳 | 62歳 |
表を眺めていて気づくのは、女性は30代でほぼ二周するということ。32〜34歳と36〜38歳が続くため、「30代の大半が厄年のいずれかに該当する」という指摘も複数の解説で見られます。だからこそ、女性にとっての厄年は「怖い期間」ではなく「変化の多い年代を丁寧に過ごす目安」と捉えたほうが、心穏やかに向き合えるのかもしれません。
生まれ年から自分の厄年を計算する方法や、西暦での早見表は厄年早見表・計算方法の記事で詳しくまとめています。
三年詣でという考え方

前厄・本厄・後厄の三年それぞれで続けて厄除け・厄払いの祈祷を受けることを、「三年詣で」と呼ぶことがあります。
厄払いの祈願では「大難を小難に、小難を無難に」という言葉が使われます。これは、一度で厄をすべて消し去るというより、毎年段階的に難を軽くしていくという考え方を表した言葉です。三年に分けて祈祷を受ける習わしは、この発想と自然につながっています。
同じ場所で受けるとよいとされる理由
前厄で厄払いをお願いした神社・寺院があるなら、本厄・後厄も同じ場所で祈祷を受けるとよいとされています。三年間を通じてご縁が深まり、より御守護が期待できるという考え方が背景にあると説明されています。
そして三年目、後厄の年には、無事に過ごせたことへの感謝の参拝(お礼参り)を行うとよいとされます。祈願で始まり、感謝で結ぶ。三年詣でには、そんな一本の物語のような流れがあるのです。
義務ではなく、任意の慣習
ただし、三年連続で厄払いに行くかどうかは個人の考え方次第という声も多く聞かれます。本厄だけでなく前厄・後厄も含めて三年連続で厄払いをする人もいれば、厄払いに全く行かないという人もいる、と説明する解説もあります。
大切なのは回数そのものよりも、自分が納得できる形で節目を意識することかもしれません。参拝に行けない年があっても、それを気に病む必要はないという受けとめ方が、現代では広く共有されています。
前厄・後厄についてよくある質問
Q1. 前厄・後厄も厄払いを受けたほうがよい?
多くの解説では「できれば三回、厄除け・厄払いを行うのがよい」と紹介されています。ただしこれは義務ではなく、個人の考え方次第という声も同じくらい多く見られます。自分の気持ちが軽くなるかどうかを基準に決めて構わない、という受けとめ方でよいでしょう。
Q2. 一年だけ受けるなら、どの年がよいとされる?
スケジュールの都合で三年とも難しい場合でも、できるだけ本厄の年には厄除け・厄払いに行くとよいと述べている寺院の解説があります。三年の真ん中、最も厄が表れるとされる年を選ぶ、という考え方です。
Q3. 前厄と後厄、どちらがより注意が必要?
前述のとおり見解は分かれており、決まった答えはありません。本厄を最も注意すべきとする説が多数派である一方、「三年ともどの厄も同じくらい」とする説、「後厄こそ気を抜けない」という体感的な語りもあります。三年間トータルで慎重に過ごすという捉え方に落ち着けるのが現実的です。
Q4. 喪中・忌中と前厄・後厄が重なったら?
神社では「穢れ」の考え方から、忌中(四十九日まで)は参拝を控え、忌明け後に受けるのが一般的とされています。一方、お寺は法事供養を日常的に行っているため、喪中・忌中でも厄払いを受けられるとされています。時期が重なってしまった場合は、参拝先に事情を伝えて相談すると安心です。
まとめ:三年をひとつの流れとして受けとめる
前厄・本厄・後厄の違いを、あらためて整理します。
- 前厄=厄入り。予兆が現れ始めるとされる「備えの年」
- 本厄=厄が最も表れるとされる「乗り越える年」。人生の節目と重なりやすい
- 後厄=厄晴れ。徐々に薄らいでいくとされる「気を緩めない年」。感謝の参拝で締めくくる
- 三年に分かれるのは、厄をグラデーションで訪れる運気の波として捉えてきたから
- どの年が最も重いかは諸説あり、三年トータルで丁寧に過ごすのが無理のない向き合い方
- 三年詣ではご縁を深める習わしとして伝えられているが、義務ではなく任意
厄年は本来「役年」に通じるという説があるように、災いを恐れるためだけの制度ではなく、人生の区切りに立ち止まるための知恵でもありました。三年という長さは、変化の大きい年代を慌てずに歩くための、やさしい目印なのかもしれません。
年ごとの運気の流れをもう少し広い視野で眺めてみたい方は、2026年の運勢を陰陽五行で読み解く記事もあわせてどうぞ。厄年という縦の時間軸と、その年の運気という横の流れを重ねて見ると、自分の立ち位置がより立体的に見えてきます。
参考文献
- 神社本庁「厄祓い」
- 村松虚空蔵尊だより「前厄・本厄・後厄で一番悪いのは?」
- 村松虚空蔵尊だより「厄年に適した過ごし方とは?」
- HOME ALSOK研究所「前厄・本厄・後厄とは?」
- やしろ「2026年の厄年は何歳・何年生まれ?」
- 千葉厄除け不動尊「厄年早見表・厄除けをする年齢表」
- antina gift studio「前厄の厄払いはした方がいい?」
- さがみ典礼「厄年に厄払いをしないとどうなる?」
免責事項
本記事は日本に伝わる厄年の慣習について、神社・寺院等の解説をもとにまとめた読み物です。厄年の起源や解釈には諸説があり、地域・寺社によって数え方や考え方が異なる場合があります。記載内容は特定の結果や効果を保証するものではなく、健康・法律・金銭に関する判断の根拠となるものでもありません。体調や生活上の具体的なお悩みについては、必ず専門機関にご相談ください。厄払いの受付時期・方法については、参拝を予定される神社・寺院に直接ご確認をお願いいたします。
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