街角の易者がジャラジャラと音を立てながら扱う、あの細い竹の棒。あれが「筮竹(ぜいちく)」です。コインやサイコロで易を立てる方法もありますが、より正式な形で卦を求めたい方には、やはり50本の筮竹に触れてほしいのです。この記事では、筮竹そのものの意味、揃えるべき道具一式、略筮法の手順、算木との組み合わせ、購入できる場所までをまとめます。

筮竹は、易神に問いを届けるための「アンテナ」だと語る易者もいます。道具への敬意が、占いの精度を深めるのです。
筮竹とは|なぜ50本なのか
筮竹は、長さ35〜55cm程度の細い竹ひごを束ねたもので、易占の卦を立てるために用いられます。手元にあたる根本側がやや細く削られ、扇状に開きやすくなっているのが特徴です。一般的に流通しているのは1尺2寸(約36cm)か1尺5寸(約45cm)。短いほうが扱いやすく、長いほうは存在感があります。
本数が50本である根拠は『易経』繋辞伝の「大衍(だいえん)の数五十、その用四十有九」という一節にあります。天の数(1・3・5・7・9=25)と地の数(2・4・6・8・10=30)を合わせた55から端数の5を引いて50。そのうち1本は「太極」として筮筒に立て、残り49本で占うのです。
揃えるべき正式な道具4点
本格的に易を立てるなら、以下の4点が必要になります。
| 道具 | 役割 | 価格目安 |
|---|---|---|
| 筮竹(ぜいちく) | 50本の竹ひご。卦を立てるための主役 | 3,400〜5,500円 |
| 筮筒(ぜいとう) | 太極の1本を立てる円筒。竹や木製 | 数千〜12,540円 |
| 算木(さんぎ) | 陰陽を示す6本の角材で大成卦を表示 | 約11,000〜17,000円 |
| 掛肋器(けろくき) | 筮竹を仮置きする台。略筮なら二山型 | 2,700〜8,200円 |
入門用の「ミニ易セット」なら一式が5,500円前後で手に入ります。フルセットを揃えると2〜3万円ほど。最初は入門セットから始めて、必要に応じて算木や筮筒をグレードアップしていく流れが現実的です。

筮竹の使い方|略筮法(三変筮法)の手順
筮法には本筮法(十八変)・中筮法(六変)・略筮法(三変)の3種類があります。江戸時代の新井白蛾、明治の高島呑象も使った略筮法が、もっとも実践的で初心者向き。手順は次の通りです。
- 50本の筮竹を持ち、占いたいことを心に念じる
- 1本を抜き、筮筒に立てる(これが太極)
- 残り49本を扇状に開き、無心で左右に分ける
- 右手側の束を掛肋器に置き、その中から1本を取り左手の小指と薬指の間に挟む(人策)
- 左手に残った筮竹を8本ずつ取っていく(八払い)
- 残った本数+小指の1本で内卦を決定
- 同じ操作を繰り返し外卦を決定
- 3回目は6本ずつ数え(六払い)、変爻を決定
| 残り本数 | 八卦(内卦・外卦) | 象 |
|---|---|---|
| 1 | 乾(けん) | 天 |
| 2 | 兌(だ) | 沢 |
| 3 | 離(り) | 火 |
| 4 | 震(しん) | 雷 |
| 5 | 巽(そん) | 風 |
| 6 | 坎(かん) | 水 |
| 7 | 艮(ごん) | 山 |
| 0または8 | 坤(こん) | 地 |
算木との組み合わせ方
筮竹で求めた卦を「視える形」にしてくれるのが算木です。6本の角材それぞれに陰陽の印があり、表側(溝なし)が陽、裏側(溝あり)が陰を表します。下の3本に内卦、上の3本に外卦を並べると、64卦のうちのどれかが目の前に現れる仕組みです。
陰陽の見分け方
表(溝なし/一本線)→陽、裏(中央に溝/二分された線)→陰。算木をひっくり返すだけで、卦の流れを目視できます。
材質は黒檀や象牙が定番。陰の印に螺鈿象嵌をあしらった算木は易者のステータスとも言われます。メモ帳に書き出すほうが早いという声もありますが、目の前に物理的な卦が現れる重みは、紙では得られないものです。
どこで買える?選び方のポイント
筮竹や算木は、占い道具専門店・Amazon・楽天・minneなどで購入できます。最初の1セットを選ぶときは、次の3点を意識してください。
- 長さ:自宅で使うなら1尺2寸(36cm)が扱いやすい
- セットか単品か:迷ったら入門セットから
- 算木の素材:長く使うなら黒檀以上を
竹は自然素材です。筒に立てっぱなしにすると曲がってクセがつくので、定期的にケロク器に寝かせて休ませてあげてください。道具を労わる時間も、易の修練の一部だと言われます。
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道具への敬意が、占いを深める
筮竹を使えば占いが必ず当たる、ということではありません。けれど50本の竹を扇状に開き、ジャラリと音を立てて天と地に分けるあの瞬間、心が静まり、無心の状態に入りやすくなるのは確かです。道具を整えることは、占いに向き合う姿勢を整えることでもあります。
まずは入門セットを手元に置き、太極の1本を筮筒に立てるところから始めてみてください。「易神」と呼ばれる存在に問いを届ける感覚は、サイコロやコインでは味わえない深みを持っています。
参考文献
- 日本易学振興協会|易占いの道具 筮竹や筮筒、算木とは?
- 易経ネット|占い方
- Wikipedia|筮竹
- 易経独学|易経入門 占い方(手順)
- 高橋南北|易占の立て方
- 九州易学開運学院|筮竹の操作法
- 易占堂|占い道具・易占道具の専門店
免責事項:本記事は易占の伝統的な道具と作法を紹介するもので、特定の鑑定結果や効能を保証するものではありません。占いの結果は参考情報として受け取り、人生の重要な意思決定は専門家への相談と併せてご検討ください。
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専門家への相談:本格的に易占を学びたい方は、易学振興協会など信頼できる教室や専門家への相談をおすすめします。


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